2005年以前 ハイテック ニュース
ピーリングマシン「セーバー10」を発表、および販売を開始しました。
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「HITEC FOOD EQUIPMENT B.V.」 を設立しました |
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~売れるものづくり成功物語~ 「ソーセージの充填という独自の市場で国内トップになりました」 |
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~全国注目企業Report~ 「ソーセージ充填機で 国内トップシェア」 |
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~小さなトップ企業~ 「ドイツも仰天、 世界初「天然腸」用を開発」 |
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小さなトップ企業 - ハイテック(ソーセージ自動充填機)
ドイツも仰天、世界初「天然腸」用を開発
ハムやソーセージの自動充填機で約80%のシェアを誇る。
顧客情報の蓄積で、常にニーズを先取りする商品開発力を維持。
日本市場が頭打ちの中、ソーセージの本場欧米へ本格的に進出する。
ソーセージの本場欧州の企業でも、難しいとされていた大きさが均一の「天然腸ソーセージ自動充填機」を世界で初めて開発した企業がある。生産設備を持たず研究開発に特化するファブレス企業のハイテック(横浜市)である。 中村實社長は「お家芸の柔道で日本人が負けた。そんな気分をドイツ人も味わったことだろう」と胸を張る。1976年の設立以来、ハムやソーセージの自動充填機を開発し、大手ハムメーカーなどに納めてきた。同分野での国内シェアは約80%を占める 欧米のソーセージが日本で本格的に普及し始めたのは、60年代中ば。高度経済成長期の真っ只中で、食生活の洋風化が一気に進んだ時期であった。 中村社長は群馬の商業高校を卒業後、親戚が経営する鉄工所で工作機械部品を作っていた。だが、「自分で何か事業を起こしたい」という思いを捨てきれず、27歳で独立。機械部品を作る会社を2人で立ち上げた。中国帰りの会社員の依頼を受けて、餃子を包む機械を開発。販売も好調で、事業は軌道に乗っていた。 ところが、ソーセージを食べた時に転機は訪れた。「こんなおいしいものはないと思った」。加えて栄養価も高い。日本人の間で爆発的に広まると直感した。「餃子のマーケット規模はたかが知れている。ソーセージは全世界で60億人が食べる可能性がある」。中村社長は餃子を包む機械の販売を取りやめ、ソーセージの自動充填機の開発に邁進した。
■高い技術の源は地道な情報の蓄積
ソーセージは、肉と脂身を細かくして塩や香辛料を混ぜたものを、ケーシングと呼ばれる細くて長い筒袋に詰めて作る。自動充填機を使った生産工程はまず、ノズルにケーシングをかぶせ、そこに原料を送り込む。それに合わせてノズルも回転させる。そうすることで捻り部分が作られ、数珠つなぎのソーセージが生産される。 機械による自動充填の難しさは、ケーシングに人工腸と天然腸のどちらを使うかで大きく変わる。たんぱく質の一種であるコラーゲンなどを成分にする人工腸の場合、直径と強度が一定なので、大きさが同じソーセージを作ることが可能だ。だが、羊や豚などの天然腸では、直径が不均一で山がりくねっているうえ、皮膜は薄くて軟弱なため、大きさが均一のソーセージを作ることは難しいとされていた。欧米では、熟練作業者が手作業で原料の送り出しをしているが、大きさを均一に揃えることは容易ではなく、ましてや機械でその作業をすることは夢だった。 ハイテックは97年から大きさが均一となる天然腸ソーセージ自動充填機の開発に着手。当時、日米で主流だった人工腸ソーセージ用の自動充填機を基に開発を進めたものの、「最初は破けてばかりいた」(中村社長)。 99年、ようやく開発に成功。「形の揃った天然腸ソーセージなどできるはずがない」という常識を覆した。機械振興協会(会長・豊田章一郎トヨタ自動車名誉会長)の「中堅・中小企業新機械開発賞」を受賞。日本と米国と国際合わせて計8件の特許も取得し、高い技術力を証明した。 同社の強みは、地道な情報の蓄積にある。営業から納品・保守までを行う十数名のサービスエンジニアがいるが、彼らが顧客を訪れた時、その目的が何であれ、会社に帰ってから必ずリポートを書かせることにしている。訪問の目的から、対談の具体的な内容、先方が何を言ってどんな感触だったのかまでを記述させる。同様に、製品開発の記録や展示会の資料などもすべてファイルに整理して残し、それを製品開発に役立てている。手間のかかる方法だが、「効率的な製品開発には欠かせない」と中村社長は強調する。 人的資源の限られている中小企業にとって、何を開発するかの判断は重要だ。社員が足で稼いで蓄積した情報に照らすことで、判断がブレないようにしている。思いつきのアイデアだけに頼らない、地道な情報の蓄積こそが高い技術力と商品開発力を維持する源だという。 この考え方は特許にも徹底している。「あらゆる特許を徹底的に調べる」(中村社長)というように、開発部門には、ソーセージを充填する工程はもちろん、大手ハムメーカーが取得している原料の処理方法から、肉の血液に関する医学的な特許まで、その情報をファイルに整理して保存している。対象国は米国やドイツにも広がる。 製品開発の段階になると、自らのアイデアが他杜の特許に触れていないか克明に調査する。そのうえで技術開発を進めて、新たな特許を押さえていく。小さな企業でも、他社の特許から自社の置かれている位置を把握してムダな開発を避ければ、十分大手に対抗できる。実際、同社はソーセージ充填機の特許の半分以上を押さえている。
■米国に子会社設立、欧州進出も視野
課題がないわけではない。国内の大手ハムメーカーの設備投資の不振から、この3年問、売り上げは伸び悩んでいる。国内メーカーに納めるだけでは、これ以上の伸びは期待できない。 そこで海外に目を向けた。10年前から、米国を中心に欧州、南米、東南アジアなど15カ国で販売してきたが、食品機械を専門に扱う地元の商社に任せっぱなしで、本格的な進出とはとても言えなかった。「商社を通すと悪い情報は入ってこない」。同社の強みであるすべての情報を蓄積して顧客ニーズを先読みし、それを製品開発に生かすプロセスができない、と中村社長は振り返る。それを解消するための第1弾として、2000年、米国に子会社を設立、直販を始めた。 また、今年5月にドイツで開かれた展示会には、8人の社員を派遣。最新作の天然腸ソーセージの自動充填機を宣伝してきた。欧州への本格的な進出のきっかけをつかむのが狙いだ。 ドイツなど欧州ではかつて、ソーセージは小さな店での職人による手作りが一般的で、大量に高速生産をする需要はほとんどなかった。それが最近、小型店が大型店に集約されるなどして、自動充填機への需要も徐々に大きくなっている。 ただ、欧米進出は中村社長の夢の通過点に過ぎない。最終的には、発展途上国にソーセージを普及させる夢を抱いている。「食生活が豊かでない国の人々にソーセージのおいしさを広めたい」。社長の純粋な思いが、同社の技術開発の原動力だ。(富岡修)
~NIKKEI BUSINESS 2001年6月4日号~
■表彰当社の世界初の天然腸ソーセージ充填機 LINKWEL(リンクウェル)が「新機械開発賞」を受賞 上記機械開発賞は中堅・中小企業において優秀な技術開発を行い、その結果を実用化することにより日本の機械工業における技術の進歩に貢献した企業、及び技術担当者を表彰することによって機械工業の振興に役立てようとするものです。
当社は「定寸、定量、定形天然腸ソーセージ充填機の開発」の業績に対し、2000年度(第31回)「中堅、中小企業新機械開発賞」を財団法人 機械振興協会(豊田章一郎会長)から2001年3月22日授与されました。
この賞は、地方自治体、公共団体、機械工業関連団体及び国、公立試験研究機関から推奨された38件の受賞候補者の業績について、審査委員会の慎重審議の結果、ハイテック他6件の受賞が決定した。実に5倍強の競争率の難関を突破し、
当社のLINKWELがこの権威ある賞を受賞したことに、私たちは誇りを持つと同時に更なる新機械の開発に日夜努力邁進しております。
これより先に、LINKWELの研究開発に際しては、その内容が高く評価され、横浜市より研究開発助成金の交付を受けました。この結果が今回の受賞に繋がったものと思います。 |